2010年4月30日金曜日

地デジ化体験記(その1)

 2011年7月24日に地上波テレビとBSテレビのアナログ放送が終了するということは、ほぼ周知の事実になりつつある。この原稿を書いている時点(2010年4月30日現在)であと450日に迫っているが、それにしても、本当にアナログ放送を終えてしまってよいのであろうか。わが家の地デジ化体験記を通して、いくつか問題点を考えてみたい。
 デジタル放送化は「国の方針」として決められており、その期限が先の期日とされているのは、これにさかのぼること10年前の2001年7月24日に電波法改正され、そこから起算して10年後ということにされたからだ。ただ、デジタル放送受信機の普及を考えてみるとそのスケジュールでよかったのかどうかいささか疑問が残る。つまり、2001年の電波法改正から

◇ そもそも、なぜデジタル放送が導入されるのか。

 社団法人デジタル放送推進協会のホームページ(www.dpa.or.jp)には、「アナログ放送には無い10の魅力」が説明されている。これによれば、①迫力の高画質!②ゴーストもなくクリア!③臨場感あふれる高音質!④録画もラクラク!EPG⑤これは便利!データ放送⑥楽しみ広がる双方向サービス⑦マルチ編成でスポーツ延長も最後まで!⑧高齢者・障害者にもやさしい字幕放送⑨ワンセグでいつでも情報キャッチ⑩デジタル化でチャンネルが増える!、というメリットが示されている。
 たしかに、デジタル放送の導入により、自然・気象条件等による送受信障害を回避・顕現したり、電波の交通整理が容易になったり、高機能・高画質・高音質といったメリットが挙げられる。また電気製品の需要を作り出すことにより、一定の経済的効果が見込まれる。
ところが、アナログ放送とデジタル放送とには技術的な互換性はなく、すべての送受信設備を更新しなければ受信できなくなってしまう。そのため、受信機の買い替えが必要となり、視聴者全体に大きな経済的な負担をかけることになる。また、現在使っている周波数帯(いわゆる「電波の空き地」)を空けた後の利用方針も明確ではない。

◇ 一部の電波が拾えない!!

 私の実家は、千葉県のほぼ中央部、九十九里浜から少し内陸に上がったところにある山武市(旧山武町)にある。地上デジタル放送のカバーエリアとしては、東京タワーからの送信範囲内ギリギリの地点だ。2009年8月にアンテナをDIYで設置してみたが、なかなかうまくいかない。遠距離用に作られたUHFアンテナ(20素子)にブースター(+33db)を接続してみたところ、おおむね受信感度はよかったものの、フジテレビの受信レベルが極端に低く、ブラックアウト状態のままだ。
 そこで、「デジサポ」(総務省デジタル放送受信者支援センター=http://www.digisuppo.jp/)に電話をしてみたところ、オペレーターは「電気店に依頼して調整を試みてください」という一点張りであった。しかし、それならばDIYをやる意味はないし、素人の設置したアンテナ工事を初めからやり直しされかねず、二重の投資になってしまう恐れがある。そこで、もう少し駄々をこねると、先方もいやいやながら技術的なアドバイスのできる人物につなぎ、「アンテナの高さ調整をしてみてください」というアドバイスまでは得られた。結局、その時点ではいくつか調整を試みたものの、やはりフジテレビだけが感度不足でブラックアウトのままだった。
 そこで、今度はUHFアンテナ(30素子)+ブースター(+40db)の組み合わせでトライしてみて、ようやく安定した受信ができるようになったが、それでもフジテレビの受信感度が低く、やはり不安定でブロックノイズの恐れがある。(その後、どういう原因かは分からないが先に設置したアンテナの方も感度が上がり、自然に受信できるようにはなった)。
 このように悪戦苦闘していたところ、「地デジ難視対策衛星放送対象リスト(ホワイトリスト)」(第二版)の対象地区になったということが4月16日になって総務省からアナウンスされた。

http://www.soumu.go.jp/main_content/000062797.pdf

 これは、放送衛星を利用して難視聴地域に向けて暫定的に放送される仕組みだが、これをめぐってもいくつか不可解なことがあったり、対応に疑問を感じたりしたので、それについては、項を改めて書きこみたい。

(つづく)

主任研究員(Y) 専門:メディア倫理法制

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