2009年5月3日日曜日

民放連に加盟しないテレビ局

 2009年5月1日、色んな意味で「とんでもない」放送局が開局した。その名も「BeeTV」。エイベックスとドコモが合弁で作った、「エイベックス通信放送」という会社が母体である。

http://japan.internet.com/finanews/20090330/3.html

 簡単に言うと、「携帯だけで見られる『放送』」を行う会社。つい一つ前の投稿で、「『通信』と『通信』の融合」という、ちょっと皮肉った文章を書いたので、この件に、触れずにはいられない。

 この会社、資本金が35億。そんでもって、資本準備金も35億。エイベックスが70%を出資し、残りがドコモ。

http://www.avex.co.jp/j_site/ir_news/pdf/080930_1.pdf

 どでかい話である。

 そもそも、エイベックスの松浦社長は、そんなことぜんぜん意識していないと思うが、この社名、私の興味ど真ん中である。曰く、「エイベックス通信放送」。「通信放送」って。要は、「通信と放送の融合」なんていって、既得権益者達がまじめに「自分達の既得権益を守るべく」議論してるのを尻目に、もうやってますよって。時代は、もうこうだと。
 iPhoneにSkypeが乗った話をしたが、時代の潮流を真に捉えているという意味では、それに似ている。なにせ、携帯(ドコモに限るが)のパケット通信(≒IP通信)で、放送的、あるいは、テレビ的なコンテンツが見られる。無論、オンデマンド。地デジ化で、IP再送信がどうだとか、こうだとか、そんな議論、とっくに通り過ぎて、もうやっちゃってる。世のデジタルネイティブ達は、とっくにテレビから携帯にその時間の使い方がシフトしてきている中で、しごく、真っ当なビジネスであり、挑戦であると思う。
 無論、エイベックスはエンターテイメント企業。コンテンツのほとんどはエンターテイメントだろう。従って、既存の放送局が持つ公共性だとか、なんだとかの議論に巻き込まれずにすむ。既成概念にとらわれない、そんな専門チャンネルだ。
 「通信」インフラ会社のドコモが「テレビ的なモノ」に参戦してくるのは予期していたが、その相手が、エイベックスになるとは。東証1部に上場している企業の中で、もっとも流行に敏感な企業、かもしれないエイベックスが、こういった事業に乗り出すことは、情報産業の視点からも見逃せない。
 無論この放送局、民放連には加盟していない。民放連は、このことにどんな思いだろうか。自分達が「置いていかれている」ことに気づいているのだろうか。今度、民放連の人に聞いてみよう。たぶん、何とも思っていない、何も感じていない、と思う。それが大問題なのに・・・。
 一方の「マックス松浦」。さすがである。このご時世に、50億のリスクマネー。賞賛に値する。CPとIP通信技術のタッグは、今後も多く出てくると思う。こういった世の中の流れが、既存の放送局の考え方に風穴をあけてくれることを、あるいは、危機意識を持たせてくれることを、強く期待せずにはいられない。
 GWということもあり、ちょっと頭がボケている。備忘録的に言いたいことだけ言わせていただいたが、あしからず。

代表主任研究員(T) 専門:情報産業論・メディア技術論

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